この本とても書評がいいので読んでみました。
う〜ん、私は今ひとつ。最近号泣してしまう本を読んだからかな。
その日のまえに/重松清があまりにも
私には心にしみたから。
12の話(presents)の本です。
一つ好きな本は、「鍋セット」。東京で一人暮らしを始める娘の
引越しの手伝いに来た母。娘はドラマに出てくるような、フローリングの
ロフトに続く螺旋階段といった部屋を想像していた。
しかし、そんな部屋は家賃が高い。実際は六畳の和室。窓は木枠に
磨りガラス。掃除、片づけが一段落し、母と近所の商店街を歩く。
きっと田舎から出てきた母にはものめずらしかったのだろう。
洋服屋、喫茶店、雑貨屋などをのぞいては、一人はしゃいでいる。
そんな母を娘はうっとうしく思う。もう一度部屋に帰って掃除を、
と言う母に「ここで帰っていい」と言う娘。
本当は夕食をつくってほしい、一緒に布団を並べて寝たい。だけど、
今日泊まってもらうと、明日も泊まっていってもらいたくなりそう。
すると母は「そういえば、鍋を用意してあげるの忘れてた」と。
娘は女性誌で見たル・クルーゼの橙色と高校生のころから憧れていた。
母は、ル・クルーゼとは不釣合いの大・中・小の3点セットを持ってきた。
娘はその鍋セットで上手に料理を作り、好きな男性、女友達に
振舞う事を覚える。
娘が数年後に選んだ職業はフードコーディネーターという肩書きがつく
職業。オープン予定だったり売り上げに伸び悩んでいたりする飲食店に
新メニューを提供するというのが主な仕事。
あの鍋セットは今・・・。
取材に訪れた誰もが言う。「どうして新しいの買わないんですか」と。
母をうっとうしく思う時って誰にでもあるんだ。私にもあった。
そう18,9の頃。今はたまに実家に帰ると、手際よく食卓におかずを
並べてくれる母に感謝している。
私は「お母さん」が出てくる話に弱いことがこの本でわかった。
この文章のはじめに今ひとつと書いたが、今この文章を書いているうちに
じわじわと心が温まってきた。
寒い今の季節にピッタリかもしれません。お気に入りのプレゼントが
あなたに見つかりますように。。。。