お姉ちゃんは毎週金曜日、階段の踊り場で“毛布おばけ”になる―。あたしとお姉ちゃんと、お姉ちゃんの彼氏の和人と、3人で過ごすこの金曜日は、あたしが“家族”という言葉を実感できる瞬間であった。父と母を失い、姉妹だけになってしまってから、家族という言葉は意味をなくした。でも、金曜日の階段は、あたしにとって至福の場所なのである―。高校生・未明の周りに起こる様々な出来事を綴ったハートウォーミング・ストーリー。『みちのながてをくりたたね』『花火の下、きみの微笑みを』『缶コーヒーの行方』の三篇を収録。(Amazonより )
橋本紡さんって男性!?
金曜日になると毛布おばけになる、お姉ちゃんの彼氏の和人の心の描写がうまい。
父が交通事故で亡くなり、そのショックで母が入院。温かい家庭には姉妹だけになってしまった。お姉ちゃんは妹もうっとりするほどの美人。ところが毎週金曜日になると階段の踊り場で毛布おばけになる。踊り場に色々ご馳走を広げて、3人で食事する。
お姉ちゃんの気持ちに合わせて、踊り場でっていうのがいい。
テーブルで食べようなんて、無理強いはしない。いつかきっと元のお姉ちゃんに戻る時がくると信じている和人と毛布おばけの妹。
こんなあらすじだと暗い話かと思う。でも全然そんなことない。
短編小説ではない。
こういう恋愛であれこれ迷う時って誰にでもある。わたしにもあった。
そんな夫との交際している時の不安定な気持ちや一緒にいるだけで幸せな時を思い出しながら読んでいた。
ドロドロした恋愛小説ではない。サラッと読めるうえにぐいぐい引き込まれて一気に読んだ。