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評価:
山田 宗樹
小学館
¥ 1,575
(2008-06)
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厚い本ではないが、人生の生き様がつまった本。
古賀病院で医療ソーシャルワーカーとして働く猪口千夏。
その病院で亡くなった妹の死を受け入れることの出来ない、西原という87歳の男性が猪口の相談室を訪れる。認知症ではないが、妹はいないはずの病室を訪れてしまう。
本当は一人暮らしが寂しくて、寂しくてたまらないのに強がってしまう。
世間話をする友人もいない。唯一毎日来てくれるのが、夜のお弁当を届けに夕方来てくれる宅配サービスの30代の女性。それも妙な錯覚を起こし、混乱を招く。
頭の中の混乱の様子が文章から伝わる。伝わると言っても私はこんな混乱に陥ったことがないので、想像でしかない。
最後の混乱の様子は文章を読むというより、見るという感じに近い。
こんな本を読んだのは初めてだ。
猪口を訪ねるのはこの老人だけではない。ガンを宣告され混乱する30代の女性。
入院中の患者など様々な病気と戦う人々が登場する。
人の生と死を考える本だ。