活字中毒ともいうべき、本がなくては
ならない私。

5歳の息子と、3歳の娘がいます。
子供たちお気に入りの本なども
紹介しています。
コメント&TB大歓迎です。

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ボトルネック/米澤 穂信
4103014717ボトルネック米澤 穂信 新潮社 2006-08-30by G-Tools

 
恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。

米澤さんの本はこれで2冊目。
この本の感想もやはり難しい。何故だ??
前回の『春期限定いちごタルト事件』に比べると最初からスピードがあった。
それについて行くことも出来た。

主人公嵯峨野リョウは東尋坊から崖下へ落ちてしまう。気づいたら「僕がいるはずのない世界」。そしてこの世界にはリョウの住む世界には存在しない人間や木が存在している。
元の世界に戻れるのか?という疑問が。この世界では生きていけないのだ。
だって戸籍も何もないのだから。

ある意味これってホラーだよね。

素直に心からおもしろかった〜とは言いがたいかもしれない。
多分ラストを読み取る力に欠けているからだと思う。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここからは思い出話。
私は結婚して8年目を迎えた。
8年前にこの物語の舞台である東尋坊を歩いてきた。なぜ新婚旅行に東尋坊??と
思うかもしれないが金沢方面に行こうと決めて「るるぶ」を何気に見ていたら、東尋坊を
知った。そしてここに絶対に行こうと決めた。
あの崖下をのぞいた時の恐怖といったらない。この小説にも出てくる遊歩道というか
下へ下りる階段があった。あの階段を大きなお腹をした妊婦さんが歩いていた。
すべって落ちたらどうするんだと思い、ハラハラしたのが記憶にある。

本を開くまでこの表紙の絵を見ても、これがあの東尋坊とはビックリだった。
思わず夫に「この絵、東尋坊だって」と言ったら、たったひと言
「へえ〜」それだけかい。
車で行った旅行。あんなに車を走らせたのもあの時がはじめてだった。(私はずっと助手席であったが)
だんだん感覚は麻痺して「金沢まで100km」なんていう標識を見ると「近い、
あともう少しだね」なんて言っていた。

だからこの日本海の寒々しさ。東尋坊の怖さを思い出しながら読むことが出来た。
四度目の氷河期/荻原 浩
4104689033四度目の氷河期荻原 浩 新潮社 2006-09-28by G-Tools

人生を語るには、早すぎるなんて言わせない。ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした―何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは、ある日死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。その瞬間から、少年の孤独なサバイバルゲームは始まった。「自分」を生きるため、本当に大切なことって何?『明日の記憶』の著者が描く、今ここにいることの奇跡。感動青春大作。17歳の哀しみと温もりが、いま鮮やかに甦る。

なんかまたすっごい本読んじゃったよ〜って声を大にして叫びたい。
たった今読み終わったばかり。
それにしても荻原さんってなんて引き出しが多いのだろう。
まだまだ隠し持っているに違いない引き出しを想像すると次回作がワクワクしてくる。
まだ未読の本が結構あることに気づいた。
『誘拐ラプソディー』や『メリーゴーランド』他にもある。

さてさて、感想を。
ひと言でいうとスケールがでかすぎる。
話は主人公南山ワタルの幼稚園時代からはじまる。
ワタルは同級生とちょっとどころではない、かなり外見が違う。
身長も高いし、髪や目の色とにかく日本人離れしている。
そして並外れた足の速さ。
小学生になり田舎の学校に通うワタルは仲間はずれでいつも孤独だった。
そんな時に知り合ったのが、転校生のサチ。
ある事情から古代石器に興味を持つワタルは山道を歩いて、川で遊ぶのが日課だった。
ワタルの遊びにいつもついて来たサチ。

中学、高校と2人は成長していく。すれ違ったりしながらもお互いの心はいつもつながっていた。この2人がとってもかわいい。ワタルの純粋さが美しいくらい。
純粋がゆえに時には
「それやり過ぎだよ〜」
とワタルに言いたくなる時もあった。

中学では陸上部に入部する。高校生になっても陸上は続けた。そしてインターハイに出場。サチはもちろん、中学の友だち高校の同級生みんなが活躍を見守ってくれる。

途中、それでいいの?という疑問もあったが全部ひっくるめて、まっいいか。

僕が生きていることを、ぼくがここに存在していることを、みんなが認めてくれている。祝福を送ってくれている、そのことへの返礼のことばだ。(文中より)

この本はきっと中学生でも読める本だろう。
今、子供達が自ら命を絶っていく事件が後を絶たない。
とりあえずこの本を読んでみて欲しい。きっと何か感じ取れるものがあるはずだから。
ほかほかパン/スズキコージ

はなめんちゃんはお母さんに「ほかほかパン」を買ってくるように頼まれて出かけますが、どこに売っているのかわかりません。途中、イボガラスさんがつれていってくれたのは花屋さん。タテウシさんがつれていってくれたのは本屋さん。でもとうとうパン屋さんを見つけました。意外なところに「ほかほかパン」が!…… 写真撮りした粘土のオブジェをコラージュした愉快な絵本です。(こどものとも585号)
ほかほかパンというこの本。

この本は図書館で見つけた本だ。時々図書館に行ってどんな絵本を借りるか迷った時に
このこどものともの本があるコーナーに行き、本を選んでくる。この本はそうお値段も手頃の薄い本だ。いつも行く図書館ではこの絵本、雑誌扱いになっている。

するとこんなおもしろい絵本を見つけることが出来る。

この本をアマゾンにもbk1で検索しても出てこない。紹介するのにどうするかと迷い、
福音館書店のHPで探してみた。

借りてきたその日の晩、読んでいた私が笑ってしまった。
「ほかほかパンは、ありますか」って力を抜いて言うとおもしろい。
「ほかほか」という言葉もいいのかもしれない。
言葉があったかい。物語にあまり意味がないのもいい。
最後はおおきいほかほかパンに出合えてめでたし、めでたし。

ホームタウン/小路 幸也
4344010302ホームタウン小路 幸也 幻冬舎 2005-08by G-Tools



札幌で働く柾人のもとへ、両親の死という過去で疎遠となっていた妹から手紙が届いた。結婚するという連絡に喜んだが、式間近になって妹と婚約者がほぼ同時に失踪。柾人はふたりを捜し出すため戻ることのなかった故郷へ向かう。
すごいぞ!!すごいぞ!!
杏の読書日記プラスの杏さんおすすめの本だ。杏さんのブログで初めてこの作家さんを知り、ずっと気になっていた。図書館で見つけたので借りてみた。
何だこの作家は???
ラストまで手に汗握るとはこのことで、本を閉じる事を許さない感じ。

ミステリーに分類されるのだろうか。

主人公柾人は、札幌の<三国屋>という百貨店に勤務する。
ビルの最上階の顧客管理部の部屋の奥にある小さな部屋。
顧客管理部<特別室>。
そこのたった1人の専従社員で、主任。1人きりだけど役付きで部長でもある。
それぐらいの権限がないとこの部署では何も出来ないのである。

そしてたった1人の肉親である、妹の行島木実(いくしまきみ)。
この2人の過去はとても辛い。。。。
ある事情で両親を亡くしてしまった。その記憶を忘れることの出来ない柾人と木実。

その木実が何故か行方がわからなくなってしまった。
旭川店に勤務する木実の婚約者の青山君の行方もまたわからない。
これはどういうことだ。

そこで柾人は自分の仕事の権限を使い、独自の捜査を行う。
長年親代わりをしていてくれた、カクさんと共に。

このカクさんと草場さんという男性がとてもいい。
味のある俳優さんが私の中で演技を繰り広げてくれた。

途中、衝撃的な過去や手に汗握る場面が出てくるがラストは本当にそれぞれが家族のようになりまさに「ホームタウン」である。




赤い指/東野 圭吾
4062135264赤い指東野 圭吾 講談社 2006-07-25by G-Tools

直木賞受賞後第一作。構想6年の後に書きあげられた書き下ろし長編小説、ついに登場! 身内の起こした殺人事件に直面した家族の、醜く、愚かな嘘に練馬署の名刑事、加賀恭一郎が立ち向かう。ひとつの事件を中心に描き出されるさまざまな親子像。東野圭吾にしか書き得ない、「家族」の物語。
『放課後』でのデビューから数えてちょうど60冊目にあたる記念碑的作品。


もう読み始まってすぐに辛くなってきた。
加害者の立場、被害者の立場にどちらにしても辛い。
前原昭夫が思いついたこととは・・・・
そんなことが有り得るのか。今の世の中有り得るのかな、それも辛かった。
前原八重子の言動には同じ母親として反感を感じた。子供を愛するがために間違った
愛情を注いでいる。読者からみて許せない母親をよく描いている。
そしてこの夫婦の1人息子である、直巳が終盤までずっと登場しない。
母親を通して今何をしているのか、何を言っていたかなどわかるが直巳が登場しないというのが何故か怖かった。

時間が経てば経つほど家族とりわけ親子の愛情を深さをじわじわと感じる。
どこかの感想に家族愛の本だとあった。
正直読み始めは辛いという気持ちが先で、家族愛だなんてとんでもなかった。
今、結末を知ってざっと読み返してみる。
すると深く深く・・・納得した。

加賀刑事の推理は大雑把でありながら、素晴らしく犯人のウソを見抜いて文句なしに
良かった。